恐怖心
日常生活は一般の方と同じように過ごしています。
いわゆる難病と定義された病気をもち当治療室に通いつつ悪化しないように治療を続けています。
中高年といわれる年齢です。
よく恐怖心が湧いてきて眠れないとか、家事ができないとかの苦痛を訴えてきます。
一年前はこの恐怖心に覆いつくされることが頻繁でした。
外から見ていると幽霊に近く気持ちの悪い印象を与える方であったのは私だけでないと思っています。
治療室には自分がまともだと思っている人は、たぶん来ないと思います。
もっとも街を散歩していると結構おかしな人が多くいます。
そうした人にあなたは大丈夫ですかと尋ねる勇気が私にあったとしても、たぶん尋ねないと思います。
自分の内面を隠して表面は大丈夫だ、私はまともだ、私は何不自由なく未来も明るく生きているんだと言われそうで、
私は怖くて聞けません。
そうした方とは異なり恐怖心におののいていると訴えてくるのですから、とっても正直でまともな人なのかも知れません。
それでも一年以上経っても恐怖心が湧いてくるんだと聞かされる立場としては、いささか切なくなってきてしまいます。
一年前と異なり今や幽霊らしさはなくなっています。
幽霊というか内面にある否定的エネルギーを感染させたいのかと思うこともあります。
そう思いつつ、人は変わってくるものなのだなと思います。
なぜならばその患者さんの自宅から当治療室の距離は約2キロです。
一年前は往復タクシーでした。
今やタクシー代がもったいないないからと言って歩いてきます。
しかも帰りには東急ストアーでお買いものをして帰っていきます。
ちなみに今日は魚介の鍋だそうです。