柚木麻子

当室の患者さんの中で、本が好きで好きでしょうがない方がいます。

治療中に話を全くしない方もいれば、ずーと話をするのがお好きな方もおられます。

こちらは治療する側なので集中力の妨げになることもあれば、逆に集中力が話をすることで増幅することもあります。

そのため人によっては話もするし全く話をしない事もあります。

本の虫である当室の患者さんは小説でも随筆でも感動すると本のことをよく教えて下さる方です。

今のお薦めは柚木麻子です。

その表現方法が分かりやすいし作中の主人公やその傍にいる人たちの言葉ではなく気持ちを汲んだ表現方法で

こちらに伝えてくれます。

感覚の良い方なんだなと思っています。

その方の言葉を使うと主人公は5次元意識で動いています。

ところがまわりは3次元意識なので、主人公はなかなか理解されません。

いじめにあったり孤独になったり寂しくなってしまいます。

こういう場合一般的には権威のあるほうに迎合したり、本当はノーと言いたいけれど

状況判断からイエスと言ってしまうものです。

それが3次元意識ですから仕方がないかもしれません。

でも作品中の主人公は目先の損得や見栄は横に置いて自分自身に正直に生きています。

例えば「本屋さんのダイアナ」などはそのいい例ではないでしょうか。

今までのように迎合や妥協したり戦ったりするのではなく淡々とありのままの現実を認めて進んでいきます。

面白い小説家だと自分も思っています。

ゆっくりと他の作品も進めてみたいと思っています。

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