続・夏樹静子さん3
前回の文章では何を言いたいのかがよく分からないという声が入りました。
もちろん、まだ外堀での話であり本質的なことには触れていないので分からないというフィードバックは当然のことと思います。
宮部みゆきさんのペテロを用いたのは内容が身近な話であり誰にでも想像できる範囲のものであると想定して出しました。
会社での地位や財産の有無、肉親に対する執着、そして無意識とはいえ幼い頃に身に付けた生き方、物のとらえ方、対応の仕方がその人の人格も体質も作り上げているという事実、例えて言うならば、組織社会におけるピラミッド思想に重点をおいて生きるか、または魂レベルというか自分の生き方を損得とか他人の評価等ではなく感覚のままに生きていくということへの葛藤描写がとても上手い小説だと思えたからです。
それは病気を治したいとかストレスや不定愁訴から解放されたいと思う方々が好きとか嫌いとかの感情論ではなく見る必要性のあることではないかと日々の臨床から感じていることだからです。
それが夏樹さんの心療内科をたずねての中に書かれているように顎関節症とか高血圧という結果になってしまう。
その結果という病気に対して、どう対処しようが高価な薬を用いようと客観的に治らないという事実が出てしまう理由のひとつではないかと思えるのです。